創業安政三年　うなぎ　桜家

水の都三島。この三島を代表する飲食店である、うなぎ　桜家さん。こちらには幼少期から、数え切れない程足を運んでいます。あのときのお祝いをこちらでしたなと、思い出がこみ上げてきます。幼少時はうなぎの味にしか興味が注がれませんが、大人になると伝統や文化にも目がいきます。安政三年、西暦ですと1856年に創業され、今なお人気を誇る名店です。常に高品質な味だけでは、ここまで愛され続けるのは難しいでしょう。その愛され続ける理由を、お話できたらと思います。

まず、桜家さんは、三島の広小路という場所に店を構えます。JR三島駅から徒歩10分程です。店の近くには、湧水が流れる源兵衛川と、それにかかる源兵衛橋があります。人気店であるため、ほぼ必ず入店する際に並ぶ必要があります。ランチタイム、ディナータイム、平日、土日、並ばなかった記憶はございません。一般的には並ぶ時間は良い時間ではありませんが、桜家さんの場合は異なります。並ぶ時間すら、価値を提供されています。富士山、愛鷹山からの湧水が溢れる三島は、至る所に川や橋があります。桜家さんの前の源兵衛川もその一つです。この川に沿って10メートルほどのお休み処が設置してあります。待っているお客様に対して、三島という街を知っていただきながら待っていただこうというメッセージだと察します。店だけでなく、町も好きになってもらおうという姿勢。この姿勢こそ、150年を超えて愛され続けている理由なのだと思います。

そして、お店の近くは、うなぎの香りが漂います。いざ、お店に入ると古風な内装で心が落ち着きます。1階の奥に座敷があり、2階にも席があります。畳敷きの奥の座敷には、掛け軸、ししおどしなど、おそらく相当昔からあるであろう装飾がお出迎えしてくれます。さながら博物館のような内装です。

メニューはうなぎを中心として、シンプルなメニューです。お子様受けにから揚げなどの一品料理も用意されています。まだ食べたことはありませんが、いつか食してみたいものですね。料理が出てきてまず感動するのは、その入れ物、重箱です。並盛は、この漆の重箱でした。

大盛はこちらの抹茶色の重箱。どちらも色合い、デザイン共に素晴らしく、食べる前から心が躍ります。

ふたを開けてみると、定番のうなぎが。こちらの味については、人気通りの味です。数十年前から変わりません。もしかしたら、数百年変わっていないのかもしれません。いつまでもこの味を守っていただきたいと、切に願います。

食事の最後に、サプライズが待っていました。この階段です。階段を下りて座敷に行くため、座敷に向かうときは見えませんでした。食事を愉しみ耐える際には、はっきり視界に入りました。切り株を使用した素晴らしい階段です。機会があったら、どのように作られたかを伺ってみたいです。三島を代表するお店、うなぎ桜家さん。ぜひ、足をお運びください。